さなみん

石をひとつ投げ込んでみる心のなか

井戸

井戸の淵に腰かけて、足をぶらぶらさせている。

どれくらい深いのか、それともあっけないほど浅いのか、覗き込んでもわからない。

夏の午後の光は、熱となってジリジリと私を焼くくせに、肝心なところは照らしもしない。

 

履いていたサンダルを片っぽ、落としてみる。

そうして、耳を澄ます。

カタリというのか、ポチャンと響くのか。

音がするまでの時間で、深さを測ろうとするけれど、それが井戸の深さなのか、水の深さなのか、私にはわからない。

 

今日のところは、片っぽだけのサンダルで、ケンケンして帰るとしようか。

でも、明日から。

自分の心が見えなくなったら、石をひとつ投げ込んでみる。

そして。

それを投げ込むのは、私の心だけと決める。

 

開け放した窓から吹いてくる風は、思いのほか冷たい。

今頃の季節は、まだ夏になりきれていなかったのかと、過ぎた年月を振り返るが、思い出せない。

そうか。

これは、昼間の熱がけして届かないあの井戸の底から噴き上がる風か。

私の凍土から。

 

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底が見えないから

石をひとつ

投げ込んでみる

こころの

なか

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