夕焼けの国
夕陽を観た。
ずいぶんと久しい気がする。
兄の入院、手術の後、ようやく自宅暮らしになったものの、平日の仕事が終わるのが6時、帰宅すると7時半になっているし、休日は実家に行くことが多くなって、日没の頃に外を見る機会はない。
今日、夕陽を観たのは、仕事を休んだから。
自宅に戻って半月が経つが、どうにも疲れがとれない。
それでも、染まった空にささくれ立った心が和む。
気づかないうちに、また大規模マンションが建築中になっている。
失われて行く地平線。
ブランコを思い切り漕ぐと、夕焼けの国に行けるんだという話を思い出した。
怖くて試したことはない。
でも。
今なら、試してみたい気がする。
そのときには、履いていたサンダルを片っぽだけ残して行こう。
特に、メッセージ代わり、ということもなく。
誰に、ということもなく。