さなみん

石をひとつ投げ込んでみる心のなか

白い巨塔

白い巨塔

シスプラチンは、兄には効かなかったな。

副作用で1か月で60kgが30kgになったな。

そんなことばかり思い出して、ドラマを味わえない。


BGMのうるささが、遺族にしたら腹立たしい。

ガンが発見される前、兄は脳腫瘍を蓄のう症と誤診された。

手術で脳の骨が破壊されて、脳から髄液が漏れてから、誤診とわかって再手術になった。

一瞬でも遅れていたら死んでいた。

たまたま脳腫瘍の専門医が当直だったのが奇跡だった。


治療費を払うとき、私は誤診のせいで延びた入院ややり直しの手術費も患者が払うのかと詰め寄った。


訴えたければどうぞと言われた。

医療裁判で原告が勝つことはほとんどない。


奇跡で得た兄の命は、結局2年後にガンに奪われた。

シスプラチンという薬を知ったのは、そのときのこと。