さなみん

石をひとつ投げ込んでみる心のなか

2014-01-01から1年間の記事一覧

酒の席で、職場の未婚の男性社員が 「(アナタには)子供がいないからわからないんだよ。」 って言われると、もうそこで反論終わり、みたいことになると言っていた。 なんでそんな話になったか忘れた。 でも、うん、そうだね。 私もですよ。 私のカラダは、…

寄り道

クライアントのところに届け物に行った帰り道、金毘羅宮に出会う。 高層ビルの谷間に、ひっそりと、ではなく堂々と鎮座しているところがいい。 文句あるか的な佇まい。 ここへの参詣が目的ではなく、ついでに、あるいは偶然に寄った人ばかり感がなおいい。 …

コンビニにて

その女性はいつも怒っていた。 店長からきつく言ってもらうから、という言葉がこぼれたところをみると、店長は別にいて、その人は主任か何かなのか、ただの先輩店員にしては口調が厳しい。 あなたの言い方だけで充分にきついです、と陳列棚を物色しながら思…

サンダル

ずっと前の夕陽。 いろんなことが起こっていると思っては嘆いてたのに、実は大変なことはまだ何も起こっていなかった頃の。 夕焼けの国の続き。 ブランコの下にサンダルを片っぽ、残して行こうと思ったのは。 それを取りに戻るためだった、と気づいた。 こん…

夕焼けの国

夕陽を観た。 ずいぶんと久しい気がする。 兄の入院、手術の後、ようやく自宅暮らしになったものの、平日の仕事が終わるのが6時、帰宅すると7時半になっているし、休日は実家に行くことが多くなって、日没の頃に外を見る機会はない。 今日、夕陽を観たのは…

嫌な女

試験勉強がはかどらないのは、兄の手術のせい、ということにしよう。 明日は、お昼に仕事を早退して、病院からの説明を聞きに行く。 「万一失敗しても、文句つけません」てな承諾書にサインをする予定。 ふと、思う。 私のときは、いったい誰がサインをして…

父が来た朝

朝起きてすぐに、母に電話をした。 出ない。 兄の携帯にかけた。 何回か呼んで、すぐに留守番電話サービスの声になった。 この女声が、いつも高すぎやしないかと感じている。 女性の声は、もうすこしアルトが好み。 玄関の物音に気づいて寝室からリビングに…

おカネだけちょうだい

広島の土砂崩れの被災者が、今もまだ避難している学校施設だかに、ようやく臨時のお風呂が設置されるという。 着の身着のまま逃げてきて、蒸し暑い夜をいくつも過ごして、やっとお風呂に入れるのか。 空き家が増え過ぎた問題を聞いたのも最近のこと。 そうい…

私の子供は死んだから

私の子供は死んだから。 産休や育休をとって、同僚に業務を負担してもらっているときに、ただ産まれた赤ん坊だけを見せに、会社に来ないでほしい。 出産や育児の大変はあるのだろうし、気晴らしも欲しいだろうし、自分には可愛く見える赤ん坊を自慢したい気…

なんとなく

なんとなく嫌なのだ。 ゴジラのハリウッド版。 ゴジラ誕生をリアルタイムでは観ていない。 何年か経って、テレビで観た。 でも、その頃、第五福竜丸の事故があったことは知っている。 ビキニ環礁での水爆実験。 ゴジラは、水爆実験によって巨大怪獣となった…

行き場

物干し竿は固定した。 ベランダのサンダルは、玄関に避難した。 朝起きて、ベランダのサッシを開けると、容赦ない雨が吹き込んできたので、慌てて閉めた。 行き場を失った二酸化炭素が、もわりという湿気になって、部屋の中に淀んでいる。 その二酸化炭素を…

静かに

はてなでの最終更新をしたある人気ブログの記事に、 「はてなは、静かにブログを書かせてくれないところだよね。」 という記述がある。 「自分がいる場所に勝手にとびこんできて、そこをかき乱してくるなにか、っていうのがある。」 「ブログは生身の人間が…

七夕はいつも雨降り

雨が降ると、織姫と彦星は逢えないのか。 雨が降ると、天の川が洪水になるのか。 でも、天の川は水じゃなくて星なんだから、渡れないということはないんじゃないの? いや、だとすれば、そもそもカササギの橋など要らないことになる。 違う、違う、雲の上に…

サル

オフィスのエアコン室外機が嫌な音を立てている。 除湿にすると暑いし、冷房にすると寒い。 冷房温度を28℃にすると暑く、27℃にすると寒い。 どっちつかずの苛立ちを、室外機の音が煽っている。 2階の窓からは、向かいにあるハンバーガーショップの2階がよ…

ふり

旅に出たくても出られない人から見たら、旅日記は憧れ半分、淋しさ半分。 食事がままならぬ人から見たら、ご馳走日記も、羨望半分、嫉妬半分。 ときによって、そのバーが、半分よりこっちに来たりあっちに行ったりする。 純白と漆黒の間に、無数のグレーゾー…

着信記録

お風呂から出て、何の気なしに見ると、固定電話に新しい着信記録があった。 表示されたのが名前ではなくて、番号なのは、アドレス帳に登録していないから。 でも、その番号を、私はそらんじている。 いつもは、誕生日とかクリスマスとかお正月なのに、なんで…

買えなければ死ぬ

ガソリン値上げのニュースをテレビが告げている。 インタビューアーにマイクを差し出された市民が、値上げは痛い、と訴えている。 しかし。 その人の「痛い」は、遊びに行くための経費がかかる、ということだった。 気分が悪くなって、よその局に替えた。 ど…

多面体またはアメーバ

私の他には誰もいないオフィスに、FAXの音が響いている。 大概は、経営セミナーの案内とか、節税のコンサルティングのお誘いで、ゴミ箱に直行だ。 エアコンの音も聞こえてくる。 それから、外を通る車の音。 オフィスは、どちらかといえば商店街にある。 私…

ポスト

ブラジルとチリのPK戦が決すると、もう4時に近かった。 梅雨空のせいで、太陽の明確な気配はないけれど、心なしか明るくなってきていて、 久しぶりに朝まで起きていたなと実感した。 別にチリのファンでもサポーターでもないが、PKで最後のキッカーが外した…

蟹を産む

大量の蟹を「産んでいる」夢を見た。 小さな沢ガニみたいなのもあれば、郷里の名産のずわい蟹もある。 そして、彼らはみな生きていなかった。 産むというより、排泄であったのかもしれない。 この夢の深層分析は必要ない。 青が群青になり、やがて墨色になる…

豪雨

駅舎の外はすさまじい雨だった。 大半の降客は傘を持っていたが、それを開いて出ていくことも躊躇われて、屋根の下に留まり、どこか呆然といった面持ちで豪雨を眺めていた。 私の傘は折りたたみの脆弱なものだが、軽い決心をしてそのまま出た。 矢のごとき勢…

未雨

頭痛薬を飲んで、ついでに朝から開け放していた窓を閉めた。 雨はまだ降っていない。 雷鳴だけが、思い出したように轟く。 すこしだけ、寒気がする。 テレビ画面には、雹。 雪が積もったようになっている映像に季節を見失う。 スコップで掻いている半袖姿の…

夏至

夜が明けるのが一番早い日、と思っていた頃があった。 実際のそれは、もうすでに過ぎていて、夏至というのは、昼間の時間が一番長いということらしい。 いずれにしても、季節は真夏に向かっていくが、日没は早まり、夜は確実に長くなっていくのだ。 寝苦しい…

銀河系

週明け、私を乗せた宇宙船は、それまで日常を置いていた惑星を離れ、別の銀河系へと旅立つ。 わずかな光明を求めて、一気に闇を駆ける。 しかし、大抵は、光明など見えぬうちに、やむなく帰星する。 それでも、わずかであれ、こうして気持ちだけでも、逃がす…

中立は保身

私は、喧嘩両成敗は嫌いだし、しないと決めている。 大切な人たちが対立したら、自分にとってどっちも大事でも、必ず片方は捨てる。 泣きながら、詫びながら、切る。 そうやって、これまで友達を作ってきたし、関係を継続してる。 私もそうされてる。 中立は…

たったひとりで

旧約聖書の神さまは、もし10人正しい人がいたら、ソドムを滅ぼさないと言った。 私は、100人の優しい人がいても、1人の怖い人にやられてしまう。 ソドムは滅びた。 10人の正しい人もいなかったということなのか。 でもそれは、神さまにとって、ということだ…

いいひと

「いい人」とか「わるい人」とかって、あくまでも「自分にとって」ということ。 自分に害をなす人がわるい人で、なさない人がいい人だから、善悪なんてものは、まったく個人の基準による。 他のたくさんの人にとって、あの人はいい人なのだろう。 それは、被…

要らない

子供の頃は、猫とカメを飼っていた。 どちらも、偶然、うちに流れ着いたもので、元来生きものを飼うことに反対だった母も「やむなく」というところ。 独り暮らしになった友達は、みな、猫とか犬とかウサギとかを飼っている。 それまで両親の介護に追われてい…